ありがたいことに多くのDUCATIシングルと接する機会を与えてもらい感謝しております。
そんな中でも実際に乗って触って直してみてわかったことがたくさんありました。
全てのDUCATIシングルに乗ったわけではありませんが、当初思っていたこんな感じかな~~をはるかに超えてびっくらポン!だったBest5を選んでみました。
※ご注意!どれが一番だとかどれがダメだとかいうものではありません。あくまでも私が実際に乗ってみて主観的にビックリしたというのが基準になってます。
第5位 450desmo(元レーサー)
エンジンが掛からないという事で私の処にやってきた450desmoです。
元々レーサーとして使われてバイクを街乗り用に戻したものとの事でした。
ツインプラグ化されているのは外観からわかりましたが、ヘッドを外してみるとピストンはハイコンプ、カムはハイカムになっており、ちょっと乗るのが大変かな~と思わせるバイクでした。
作業内容についてはここでは割愛しますが、出来上がって実際に試乗してみたところ、中速域以降のトルクが太くて逆に乗りやすい感じがしました。ノーマルの450desmo(450Mk3desmoですが)と比べると楽しさが断然違います。
ハイカム、ハイコンプ、ツインプラグとくりゃあ、扱いはかなり面倒なんじゃないかと思いましたが全く逆でした。難しさはキックが多少重くなることぐらいでしょうか?
考えてみれば、デスモ用ノーマルカムは250や350と同じものが使われています。またバルブ径も250、350、450と同じサイズです。キャブは内部パーツのセッティング(ジェット類やスライド等)が違うとは言え口径は同じ寸法です。(VHB29AD)
その後も豪VeeTwo製ハイカムの入った450desmoやASウオタニさんのSPⅡフルパワーキット(SR400用が組まれて調整に難儀しました)が組まれた450desmoも直しましたが、やはり450はもうひとチューンするとより楽しくなるんだな~と強く感じた次第です。
ちなみに私のテストマシン1号ともいえる450Mark3desmoですが、これには以前作ったビッグバルブヘッド(ノンデスモ)を付けてみました。
カムはグリーン&ホワイトなので、リフト量やプロファイルはノーマルのデスモカムに近いものです。バルブが大きくなった事で吸入される空気量が多くなりましたが、キックの時のぼよよん感が強くなったのは事実です。(でかいゴム風船を踏んでるような感じ?)
実際に走らせてみるとやはり中速域以降のトルク感が増してるようです。かと言って始動性が悪いとか低速域が扱いづらいなどはありません。
先月もビッグバイクな友人たちと300Kmほどツーリングに行ってきましたが、帰りの高速も含め快適に走ることができました。(振動消し対策がされているので今では高速もスイスイです)
という訳で、ちょっとチューニング(スープアップ)された450desmoはびっくらポン!の第5位となりました。
第4位 350Vento
DUCATIシングルの従妹と言えば、スペインモトトランス社の350Ventoなどのシリーズになります。
ボローニャ製は1975年くらい作られていましたが、バルセロナ製はそのあと1983年くらいまでだったかと思います。
これは私の350Ventoの話ですが、現在は県外の新オーナーさんが楽しんでくれてます。
ボローニャ製バイクに比べれば評価の低いモトトランス製バイクですが、実際はどうでしょう?
私がこのバイクを入手したのは1989年の1月、東京時代の最後の頃で、ちょうど時代は昭和天皇が崩御され世の中が暗い雰囲気に包まれていたころです。
カムやロッカー、バルブなどが欠品していましたが、車体はコンプリートでしたので何とかできるだろうと入手したものです。その後、新潟に戻りましたが出番が無いまま長い時間を待っていてくれました。
エンジンに関しては予備が手に入りましたのでそれを使うことにしましたが、やはりカムやロッカーがズタズタに削れています。ここはイタリア製のパーツを使いましょう。これで大丈夫です。
モトトランス製は最後の熱処理が甘いんでしょうか。この辺が評価の低さにつながってるのかもしれませんね。でもイタリア製に交換すればいいだけです。簡単!
スペインの名誉のために付け加えますが、弱点ばかりではありません。クラッチのインナードラムのスプリングの留まるピボッド部分が強化されていたり、ベベルシャフトのベアリングカラーに廻り止めが追加されていたりバージョンアップもされています。
そんなわけで350Ventoには全く期待していませんでした。弱点は多いし評価は低いし。
ところがところが乗ってみたらこれがビックリ!以前直した350desmoよりパンチがある感じです。
ブレーキは前ダブルディスク、後シングルディスクで、組立て式のキャストホイールと合わせてかなり重い感じがしましたが、実際にはドラムよりよく効きとてもコントローラブルです。いいじゃん!
前後サスのバランスもとてもよく、安定感があります。いいじゃん!
最初エンジン始動テストをした時にケッチンが酷かったのですが、これは350desmoなどに比べ圧縮比が高い(350Ventoは10:1、350desmo等は9.5:1)のが原因です。
350Vento用マニュアルを確認しましたらエンジン静止時にBTDC2.5~4度になってます。350desmo等はBTDC5~8度なので、350Ventoは微妙に遅い設定になってます。(進角もガバナーが違うのでちょっと少ないです。26度)
点火時期を調整するとケッチンは無くなりました。これで快適に走れます。いいじゃん!
車体もスイングアームが少し長くリアショックもちょぴっと長いんです。それでホイールベースも少し長いのですが、逆にそれによって安定感が増している感じです。いいじゃん!
とまあ、こんな感じで全く期待していなかった分驚きも大きかった350Ventoです!!!
もしまた入手できたら今度はじっくり走ってやろうと思います。もちろん右チェンジにしてからですが、、、、。(笑)
という訳で、350Ventoがびっくらポン!の第4位となりました。
第3位 239Mark3
1970年代半ば、DUCATIシングルに239ccモデルがあったのはご存じでしょうか?
239だなんて何とも半端な排気量ですが、これには訳がありました。
この当時フランスでは240cc以下のバイクに税制優遇があったので、これに目を付けたDUCATI社がフランス向けに作ったバイクです。(desmoとノンデスモのMark3があります)
排気量が小さくなった分(ボアを下げた)ハイコンプピストンにしたり、加速ポンプ付きのキャブにしたようです。(PHF30A)
県外からやってきたこの239Mk3はシフターの調子がおかしく、また電装系もショートがあったり、フロントフォークのプリロードを調整する必要があったのでお預かりして作業を行いました。
作業も終わり、お待ちかねの試乗の時間です。
えっナニコレ?ちょっと違うんですけど、、、、。(驚)そうなんです。これもまたパンチがあって楽しいバイクなんです。そうなんです。これもまたパンチがあって楽しいバイクなんです。
オーナーさんに許可をいただき、エンジン腰上を分解させてもらいました。
事前にお聞きしていた通り、ピストン74.0φの250㏄仕様。しかしピストンヘッドの高さが違います。もちろんハイコンプ!
カムは250Mark3やMach1と同じグレーカム、そしてバルブスプリングはコイルスプリングとなってました。やはり時代の進化を感じせずにはいられません。次にシングルを出していればこういう仕様になっていたはずです。
走らせると気持ちよく伸びていくフィーリングでした。ハイコンプピストンに補強の入った450用フレームの取り合わせ、まさにいいとこ取りではないでしょうか?
という訳で、239Mk3がびっくらポン!の第3位となりました。
第2位 ナローケース250
私にとってDUCATIシングルとは450であり、他の排気量はオマケくらいにしか考えてませんでした。(すみません、その1)
が、ある時、大ベテランの方から自分はMach1などのナローケースが一番好き!だというお話を聞きます。もちろんその方はすべての排気量のモデルを乗ったことのある生き字引きのようなお方です。
「へぇ~~」って感じで話半分に聞いていたわけではないのですが(すみません、その2)次のプロジェクトとしてナローケースモデルの復活を試みることにしました。乗ったらどういう感じなのか知りたいし、、、。
1992年にフレームとスイングアーム、前後ホイールを入手しました。そこからタンクやシート、エンジンそしてフロントフォークが手に入ったので本格的に作業を開始することになります。
フレームは1966年から67年くらいの250Monzaのもの、エンジンもたぶん250Monza用ですが、オーバーサイズピストンが入っており、カムはグレーカムでした。(Monzaはバイオレットカム)バルブはSCR用?
タンクは以前海外から調達した1964年のスクランブラー用(左側にしかコックがありません)シートはたぶんドカの原付用、ハンドルはベルリッキのモペッド用でレバーホルダが一体になっているものです。最後にナロースクランブラーのフォークが海外から届いたので組立てに着手しました。
どれとどれをどう組み合わせたかの詳しい話は割愛しますが、電装はステーターを改造して12V化、ワイドケースで使われていたCDIも使えるようになっています。ついでにヘッドライトはLED化も。
仮組みが終わった段階でエンジン始動テストを行いました。キャブは予備で持っていたVHB27ADを使用。最初は12Vバッテリー点火でテストです。無事エンジンも始動したので本格的に組立てを開始します。
組立ても無事終わり、いよいよお待ちかねの走行テストです。
走った第一声「ぎゃぁ~~なんて気持ちのいいバイクなの~~!?」。
確かに250㏄ですからそんなに力はありません。でも気持ちよさが断然ちがうんです。(驚)
大ベテランの方が言ってた事が現実によくわかりました。まさにその通りでした。
これはかなりの「目から鱗」で、450至上主義ともおさらばです。(笑)
エンジンのフィーリングと車体の軽さが相まって最高の快感を与えてくれますね!その上ユーティリティ性も高く、いつでもキック1発でスタンバイしてくれます。
乗っても楽しいし、いつでもOKということでどうしても優先度の高いバイクになってしまいますね。ホームセンターへの買い出しやコンビニにおやつを買いに行くときは迷わずこのバイクです。(コンビニフックを付けたいくらい>実際は無理か、、、。>笑)
さてゼロスクラッチ(フルスクラッチ)から組み立てたナローケース250ですが、テスト走行は170回を超えようかとしています。ヘッドを替えたり、カムを替えたり、ピストンをでかくしたり、点火系をCDIにしたり、キャブセットを替えたり、なんだかんだで修行のように思考錯誤を繰り返しています。(半分ノイローゼになりそうですが、、、。>笑)
なんとなく気づいてはいましたが、とても存在感があるらしく、バイクのミーティングに行くとごく一部の方々から熱い注目をいただいてます。ありがたい話です。感謝!!
また10月には地元の砂浜で行われたビーチレースにも参戦しました。
前後ブロックタイヤに替え(フロントは19インチに)エアクリを付けてそのまま出走させてもらいました。大体オフロードなんか一度も走ったことが無かったのですが、事前にYouTubeで予習してバッチリ!のはずだったのが挙動がつかめなくて怖いのなんのって!死ぬかと思いました。マジで。
そういえばタイヤ替えたときに空気パンパンにしたのを思い出し、空気圧を下げてみたところ、やっと挙動がつかめるようになりちゃんと走れるようになりました。(それでも遅いけど、、、、。涙)
最後は砂の締まった海岸線を走らせてもらったのですが、これが楽しいのなんのって!最高でした。
腰乗りができるようになり、アクセルワークだけでコントロールできるので5速全開で走ることができました。楽しい~~!!!きっと350Km/hは出せていたでしょう!(ウソ)
という訳で、ナローケース250がびっくらポン!第2位です。
栄えある第1位は、、、、、。
どうせお前の事だろうから、第1位は450Mk3desmoじゃないの?とお思いのあなた、残念でした。大外れ!です。
栄えある第1位は450とは真逆のポジションになる「100Sport」です!!!
「DUCATIシングルは小さいほど面白い」という言葉があるそうですが、100Sportはまさにその言葉ピッタリのバイクでした。
地元の方から依頼された100Sportですが、クラッチがおかしいという事で私のところへやってきました。細かい作業内容は割愛しますが、クラッチ以外にも点火系を6Vセミトラに強化、キャブ設定等もバッチリ!になったところで走行テストを開始します。
ん?一緒に預かったバイクよりよく走るんじゃない?
排気量は100㏄しかありませんのでピンクナンバーの原付2種です。なのに、、、。
一番感動したのはコーナーリングでしょうか?前後17インチのためかスパッとコーナーを曲がれます。そして前後ブレーキは250クラスと同じサイズなのでストッピングパワーも十分以上あります。(125Sportは初期型以外は1サイズ小さくなりました)
デカ目のキャブとセミトラ点火が効いてるようで、ホントよく走ります
100ccなんておもちゃでしょ!と正直バカにしていましたが、とんでもない!やはりドカはドカでした。まぎれもなく!
そんなカワユスだけではない100Sportですが、唯一の欠点をご存じですか?
それは部品構成がナロー250(4速モデル)とそんなに違わないので、手間は一緒ということです。(驚)
手間はかかるが、乗って楽しく速くて気持ちがいい100Sport、私もほしくなってしまいました。125Sportでいいんですが、、、。などと思っていましたら、気が付けば125Sportのエンジンが目の前に、、。>どうしようもない病気ですね!(笑)
という訳で栄えあるびっくらポン!第1位は、100Sportです。
番外編 モンスターS4
さて、ここからは番外編です。
普段、DUCATIシングルばかりなので、私はキャブ好きだと思われてるようですが、そうではありません。インジェクション車の方が好きなんです。
なぜかというと、普段キャブセッティングをやる時は、パイロットジェット(PJ)2番下げて走行テストを行い、その結果を記録するという作業を続けております。この場合はPJのみしか変えません。というのもキャブの構成部品は各領域において役割が決まっており(一部オーバーラップもしてますが)そのためPJとMJ(メインジェット)の2つを同時に変えると何によって変化がもたらされたかわからなくなるという事があります。(ちなみにPJ2番変えるというのは、ノーマル設定40番ですからアクセル開度~1/4までを5%変えることになります。結構でかい変化です)
まだ単気筒ですから作業は1個ですみますが、これが4気筒になったらと思うと私には想像もできません。聞いただけで倒れそうです。(涙)
しかしコンピューターによって細かくコントロールされるインジェクションはこういった作業は皆無となります。現在ではOBDⅡという規格で統一される方向ですので(4輪車も)その信号を拾うためのアダプタを車両に付け、そこからブルートゥース(BT)でスマホやPCのアプリに飛ばせばセッティングを変えたり、エラーコードを拾うことが可能となります。
近所のバイクオーナーから預かったモンスターS4は2002年モデルでした。この頃はインジェクションへの切り替えが始まった時期です。セルが回らんから始まり(ブラシ交換でクリア)その後、何度セル廻してもエンジンが掛からなかったためECUを疑い、そこからOBDⅡ+BT+スマホアプリで状態が見れることがわかったのです。
なんでお前はデジタルに抵抗がないんだと思われるかもしれませんが、私はWebやパソコンサポートを仕事としてやってますので何ら問題ございません。
今までセッティングでノイローゼになりそうなほど悩みましたが(一発で決まらないと最悪)これならラクにベストなセッティングが出せると思いました。(あとは人間の感性か?)
モンスターS4のあとに別のインジェクション車の修理を行う事になるのですが、それがヒントになりDUCATIシングルのインジェクション化を企んでます。
死ぬまでには達成しようと思います。(笑)
長々とお付き合いいただきありがとうございました。
また次回お付き合いいただければ嬉しいです。