元々レーサーとして使われたエンジンで、初めて見るリフト量のでかいハイカムやハイコンプピストンが組まれていました。残念ながらオイルラインに不具合があり、そのためかじりと削れのあったカムとロッカーアームでしたが、無事修復が終わり組むのがもったいないような状態で帰ってきました。
何分にもレーサーとして組まれたエンジンのため、各部のクリアランスはでかめ、多少のメカノイズは仕方がないのかもしれませんが、ちょっと気になる音が出ていたのでバラさせてもらったのです。
驚いたのはカム山のでかさでした。リフト量を計測してみるとIN側は12.1㎜、EX側が11.1㎜あります。ノーマルがIN側9.11㎜、EX側で8.32㎜でしたから3mm近くでかいんですね!それに合わせてクローズ側のカム山もかなり大きいものになってます。(メガサイクルのものよりでかかったです)
そのため、ノーマルのままのカムトンネルでは入らず、かなり拡大されてました。
以前というか大昔、シドサイクル製のノンデスモ用のカムを450Mark3に組み込んだことがありましたが、その時もやはりリフト量の大きいカム山に合わせてカムトンネルを拡大ボーリングをしてもらいましたので、今回の加工を見た時に懐かしいものを感じました。
現在、このヘッドは組立て作業継続中ですが、一部動きに渋いところがあり、このままではちょっと心配です。そこでオーナー様にお願いしてもう少しお時間をいただきましたので、再度分解及び組立て、調整を繰り返してよりいい状態に持って行きたいと思います。(すみません、今までで一番難航しております)
デスモヘッドの構成パーツもリプロされてます!
分解して再度組みあげる場合、気になるのが各パーツの状態です。
壊れてなかったとしても、摩耗が進んでいた場合は修復か交換が必要となります。
今回バラしたハイカムヘッドのようにロッカーアームのハードクロームがダメになっていてもリクロームすることで再生させることができます。またカム山のかじりはラッピングできれいに直せます。
それくらい金属表面の再生技術は進んでいてビックリするのですが、さすがにロッカーアームの当たり面がズタズタになっていて地金まで削れているものは(海外から入ってきた中古パーツはこういうのがあります>涙)かなり大変な作業になるとのことでコスト面も馬鹿になりません。
じゃあ、もうダメじゃん!と思われるかもしれませんが、あきらめる必要はありません。
デスモヘッドのパーツですらリプロで提供されているのです。
何がリプロで提供されているのか?
実は上の写真に写っている全てのパーツがリプロで提供されています!
正確にはバルブスプリングを除いてなのですが、バルブスプリングは今時?のタイプが用意されているのでほぼすべてと言っていいでしょう。
左上から、
1.オープン側ロッカーアーム
2.クローズ側ロッカーアーム
3.カムベアリングホルダ(DESMOマーク入り)
4.カムシャフト(デスモ)
5.べベルギアセット(250、350、450)及びナット(左ねじ)、ロックワッシャー、ウッドラフキー
6.べベルシャフトベアリング用カラー(オーバーサイズもあり)
7.ロッカーピン及びブッシュ(デスモ用250&350、450専用)
8.バルブ(IN及びEX)デスモ用
9.オイルドレインパイプ(普通用及びRT用)
10.オイルドレインバンジョー
11.デコンプバルブ(RT用)
12.バルブスプリング(ツインタイプ、要ロッカーアーム加工)
あと、写真を撮り忘れたものとしては、バルブガイド(デスモ専用)やオルダムカップリング(べベルシャフトのジョイント、アンダーサイズもあり)、ロッカーピンのゴムプラグ、Oリング、ガスケットなどでしょうか。
と、ここまでのパーツが用意されています。
それであれば万が一回し過ぎて壊しちゃったとしても何も心配ないと思いませんか!!!
いい時代になったものです。10年前までは考えられない状況です。
もちろん、オーバーサイズピストンやピストンリング、シリンダースリーブ、コンロッドキットなんかもあるんです。
現在、入手できるエンジンパーツについては下記リンク先にリストをPDF化したものを貼付けておきました。
ぜひ、ご覧になってください。
※近年イタリアではスペアパーツのリプロ(再生産)が進み、パーツの入手に関しては何ら心配のいらない時代になってきました。ちょっと前までは考えられないような細かいパーツも供給されており、DUCATIシングル好きにはホントありがたい話です。
追伸:実はアメリカの大統領選以降、円安が進んでまいりました。
このままでは年明けに値上げを考える必要があるかもしれません。
もし、必要なものがありましたら年内にお申し込みをお願いいたします。
ご覧いただきありがとうございました。
ご参考にしていただければ嬉しいです。