謎のトグルスイッチの役割とは、
日本のごくごく一部で最近話題のフラマグ点火モデルのテールライトについている謎のトグルスイッチの件ですが、ここに来てなんとなくその意味がわかってきました。
上の配線図でいくと④のテールライトの電球を跨いでいるスイッチ(なぜか番号なし)です。
このナロースクランブラー初期型?(1965年まで)とダイアナMark3はオフロードやサーキットを走ることをメインに、燈火類を簡単にはずせるように考えられていたので、電気回路はとてもシンプルになっています。その上、この回路図はシンプル過ぎるくらいに大事な部分が省かれているので、よけい意味がわかりませんでした。(涙)
この2つのマシンはどちらも軽量化のためか、バッテリー(充電系)はありませんし、ホーンすらありません。(汗)
どういう回路じゃ!私の頭では理解できん! というわけで、再度マニュアルを読み込んでみることにします。
オルタネーター内には2本のコイルがあるのですが、1本がヘッドライト用のコイル(図の真ん中の赤線とアースで1回路)もう1本がフラマグ点火用フィードコイル(黄線がIGNコイルへ、白線がストップスイッチへ、で1回路)となっています。
理解に苦しんだのがストップスイッチへつながっている白線で、これはターミナルブロックに入ってストップスイッチへ行くのですが、どうもイマイチ腑に落ちません。意味がわからんのです。(涙)
図の133番がそのターミナルブロックで、470番がストップスイッチになります。
もしマニュアルに書かれていたように黄線と白線が同じコイルにつながって1つの回路になっているのならば、白線は常にアースに届いてないとプラグに火は飛ばない事になります。
と、するとストップスイッチからは常時アースに落ちており、ペダルを踏んだ時だけアースへの流れが切れることになりますよね?(ペダル踏んだらOFF?)
えっ?そんなのってあるんでしょうか?
手元にあるストップスイッチはナロー用、ワイド用ともにペダルを踏むとONになり電気が流れます。そうで無ければストップライトへの給電はされません。
上は1966年以降のナロースクランブラーのライトケース廻りです。バッテリーや整流器(レクチファイヤのみ)が増えているのがわかります。
回路図を見ると、フラマグ点火は同じですが、充電系がプラスされ、燈火類の回路も変わってます。
ここで一つ気が付きました。480番のストップスイッチです。
先ほどの初期型SCRはストップスイッチが470番となってます。
スイッチ違うじゃん!
では、ダイアナMark3はどうでしょう?
これも470番になってます。という事はフラマグ点火モデルでも初期のものと後期型ではストップスイッチに違うものを使っている可能性が高いのです。
そこで再度パーツリストを調べてみました。
たしかに違いました。メーカーは同じアプリリアですが、後期型(充電する方)480番は「APRILIA 4339」、そして初期型470番の方はなんと「APRILIA 4339/4」と最後に「/4」が付いてるでありませんか!!!
がーん!そういう事だったんですね。違うスイッチ使ってんじゃん!
「/4」が付いている方はペダル踏んでOFFになるタイプなんだと思います。現物は未確認ですが、これで合点が行きました。(笑)
その仕組みはこういう事なのか!
ストップスイッチからは普段アースに落ちてますが、それによりオルタネーターからの回路がアースにつながり、フラマグ点火回路へも電気は流れます。ストップライトも電気的につながっていますが、電球自体に電気抵抗があるため、そちらには流れません。(点灯せず)
次にブレーキペダルを踏むとアースへの流れがOFFになり、今度はストップライト側へ電気が流れます。それでブレーキライトが点くわけです。ブレーキライトの反対側端子はアースに落ちてますので、フラマグ点火回路への電気は途切れません。よってエンジンが止まることはありません。
逆にストップライトが球切れすれば、ペダルを踏んだ時にテールライトを通ってアースに落ちる回路が寸断されてしまいますから、その瞬間プラグに火は飛ばなくなりエンジンは停止してしまいます。
そこで謎のトグルスイッチの出番となるわけです。(笑)
もし球切れしても、このスイッチで直結すれば、ブレーキスイッチがON・OFFのどちらでもアースに直接つながりますからエンジンは止まりません。なるほど!納得です。
マニュアルに「エマージェンシー・トグル・スイッチ」と書かれているわけです。
「注意書き」にはこう書いてあります。
ストップライトが切れた時、修理できるか球を替えるかまでの間、トグルスイッチを切り替えてアースに落としてください。(元は英文のため大体こんな感じです)
との事です。
これでトグルスイッチの謎は解けました。
残るもう一つ疑問は、ストップライトの電球を通ってアースってするのか?って事です。
電球自身には電気抵抗がありますから、直結の場合に比べれば電気は流れにくくなります。
ストップライトの電球は6V20Wですから3.3A流れます。(6Vx3.3A=20W)
電気抵抗値を計算してみると1.8Ω(6V÷3.3A=1.8Ω)しかありませんので、ほぼ無しに等しいのでOKなんでしょうね、きっと。(笑)
当時、軽量化のために相当頭をひねって部品点数を減らしたんではないかと想像できます。
いずれ機会があれば実物を手に入れて検証したいと思います。誰がボロでいいからくれ~~~(笑)
今ならどうする?
今回取り上げたナローケースモデルが世に出てから50年という時が経っています。
もはやフラマグの時代では無い!などというつもりはありませんが、何らかの改良ができるといいですよね!
せっかくなので12V化して電気的に余裕を持たせ、デジタル制御によるフルトラ点火キットで点火カーブをコントロールしてはいかがでしょうか?
詳しくは下のリンク先のページを見ていただければと思いますが、このドイツ製12V化キットであれば12V150Wと発電容量に余裕もあるのでH4ハロゲンも問題なく使えます。また寒い時期にはグリップヒーターを付けるのもいいですね!
フライホイールも685g(実測値)とかなり軽くなりますので、レスポンスも上がるようです。
同じくドイツ製のデジタル制御によるフルトラ点火キットは、ホール素子を使ったセンサーで点火タイミングを検知・コントロールします。これであればポイントの焼けやコンデンサーのパンクなどのトラブルから解放されますし、点火カーブの切り替えもできるので最適な点火時期設定が可能になります。また、これにASウオタニさんのSPⅡハイパワーコイルキットと組み合わせることにより最強の点火システムになるのではないかと思っております。
※このドイツ製12V化キット及びデジタル制御によるフルトラ点火キットについては下記ページをご覧ください。(イタリア中部地震支援キャンペーンは継続中です。)
ご覧いただきありがとうございました。
ご参考になればとても嬉しいです。
※純正タイプの点火系パーツ(ポイント、コンデンサー、IGNコイル、トランスデューサー、ピックアップコイル等)の入手も可能です。
詳しくは下記リンク先ページの「車体系・外装系・電装系・特殊工具その他」を見ていただくか、9.電装系リスト(PDF)をダウンロードしてください。